下記は当店が(趣味でこっそり)運営するX(旧ツイッター)のアカウント「アフリカのことわざ」で人気の句です(名称がXになってから自動配信は止められてしまいましたが。復旧準備中です)。
「ニャンコポン神が定めた運命は避けられない」 ガーナ(アカン人)
「うつぶせ寝では、ニャンコポン神は見えない」 ガーナ(アカン人)
「ニャンコポン神が殺さないのに、凡夫が殺そうとしても、あなたは死なない」 ガーナ(アカン人)
いずれもガーナのアカン民族のものです。「ニャンコ」が猫を連想させるのはもちろんですが、「アカン」が関西弁を思わせるのも人気の秘密かもしれません。
なお、X(旧ツイッター)では字数を減らすために「民族」ではなく「人」で統一してます(アカン人、マサイ人、ズールー人等。「族」は個人的になんとなく違和感があるので使ってません)。
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ちなみに、「ニャンコポン神」という表現は、山口昌男『アフリカの神話的世界』で使用されていたのを拝借しました。この本にはニャンコポン神についての様々な物語が載っています。
ニャンコポンは「オニャンコポン」「ニャメ」とも呼ばれ、字義通りには「偉大なる者」という意味だそうです。全知全能の天空神です。ただし、知り合いのガーナ人に聞いたところ、「人の心のなかにいる」とも。
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ニャンコポン神は、なぜ天空の神となったのか。Wikipedia日本語版の「オニャンコポン」の項にもほぼ同じ説明がありますが、ここではOxford Referenceに書いてあることを意訳します。
そもそもは、天空神オニャンコポンは人々のすぐ近くに住んでいました。しかし、神は空の頂きに引っ越すことを余儀なくされました。というのも、ある魔女がヤムイモを打ち砕くとき、杵を神にぶつけてしまったからです。
魔女は何が起こったのかを理解すると、すべての臼を集めて積み重ねるよう、子どもたちに指示しました。
子どもたちは、できる限りのことをしましたが、オニャンコポンに到達するためには臼があとひとつ必要でした。魔女は子どもたちに言いました。積み重なった臼のいちばん下からひとつ抜いて、それを使いなさい。子どもたちはそうしました。積み重なった臼はぐらつき、崩れ落ちました。転がる臼が多くの人を殺しました。この事件以来、「偉大なる者」は人々から遠く離れたままです。しかし、近づきにくい者とは決して見なされていません。精霊アボソムたちにはそれぞれに司祭がいて人間との仲介をしますが、オニャンコポンに司祭はいないからです。
英語原文ではキリスト教の伝統からか、神の代名詞がheとなってましたが、オニャンコポンに性別は無いようです(ガーナ在住Sさん調べ)。
また、阿部年晴『アフリカ神話との対話』によれば、同じような話はガーナ以外の西アフリカ諸国にもあるようです。
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たまに聞かれるのが、「ニャンコポン」と「オニャンコポン」のちがいです。オニャンコポンの「オ」は日本語の敬語の接頭辞「御」を思わせます。「お礼」「お箸」などの。
でも、いつもガーナでお世話になっているSさんによれば、たんに「方言の違い」と考えればいいそうです。「マックとマクド」、「ヤマザキさんとヤマサキさん」のようなものでしょうか。
いずれにせよ、日本人にはオが付いた「オニャンコポン」のほうが好まれてるようですね。漫画『進撃の巨人』やゲーム『逆転裁判』の登場人物、アニメの作品名、競走馬の馬名にも使用されています。
負けたホープフルSを糧に会心の勝利!
— 日刊ゲンダイ 競馬 (@gendai_keiba) January 17, 2022
きのうの京成杯を鮮やかに差したオニャンコポン=菅原明良騎手。このガッツポーズでした。
昨年、涙の東京新聞杯(カラテ)に続く重賞2勝目。デビューから31、30、75勝。4年目シーズンの今年は飛躍が期待できる若手です。#オニャンコポン #菅原明良 pic.twitter.com/DkZUO6s6Rr
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とりあえず、今日はここまで。
後日書き足し、書き直しするかもしれません。
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